今回も犬の幼稚園について書いていきたいと思います。ここでは幼稚園在籍中に浮き彫りになった問題についてまとめます。
犬の幼稚園コラム第3回目になります。
まず第1回目で犬の幼稚園の概要、メリット、料金について書きました。
第1回目はコチラ
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犬の幼稚園コラム①やんちゃなダックス・まんぷくはかつて幼稚園生だった
いよいよ、この話題に踏み込んでいきたいと思います。まんぷくは0~1歳頃、「犬の幼稚園」に通っていました。
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第2回目は、その幼稚園をやめるに至った理由について。
第2回目はコチラ
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犬の幼稚園コラム② ミニチュアダックスのまんぷく、幼稚園を退学する
前回の①に続いて、犬の幼稚園について書いていきたいと思います。今回はお世話になった幼稚園をやめることになった理由に触れます。
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そして今回は、幼稚園時代を振り返り、何が良くて何が良くなかったのかを深堀りします。
幼稚園通いで見えてきたこと
まず最初に伝えたいのは、わたしは「犬の幼稚園」というものを批判したり否定する者ではないということです。
どころか、機会があればまた違った形でお世話になりたいと思っています。
でも0~1歳の、もっとも大切な成長過程にあったまんぷくを預ける先としては、、、100%良かったとは思っていません。
前にも書きましたが、良かったところ50%、良くなかったところ50%というところです。
大きなメリットと、浮き彫りになったいくつかの問題点
前回のコラムで、犬の幼稚園に通うことのメリット(←かあちゃん的に)に、
たくさんの犬のなかで、犬社会のルールを学び、社交性や協調性を身につけることができる(つまりは社会化)
家のなかではなかなか経験できない、様々なイベントに参加できる(福祉活動等も含めて)
飼い主が仕事などで留守にする際、安全に預かりながら、基本的しつけトレーニングをしてくれる
というのを挙げました。
これらを目指すなら、犬の幼稚園は本当に頼もしいサポーターになってくれると思います。
ただその一方で、我が家に関していえば、
相変わらず留守番ができない
家の中(幼稚園以外の場所)での問題行動が直らない
飼い主 対 愛犬の関係性には進展がない
・・・といった問題が徐々に明らかになっていきました。
幼稚園が悪いというわけではないです。
ただ、幼稚園もタダではないですから。かけた費用に対して何がしかの効果が得られなければ、我々飼い主もさまざまな見直しを迫られます。
「通い」の難しさ
先に述べた、「良くなかった50%」の話をしたいと思います。
この、良くなかった部分を作った大きな原因が、「通いスタイル」であるとわたしは考えています。
幼稚園といえば「通い」がスタンダードですよね。朝登園して、夕方帰ってくる。
この「通い」スタイルでやっている以上、どうしても避けられない問題があると思いました。
留守番ができない=精神的自立がはかれない
当初、幼稚園にお世話になることにした一番の理由が、まんぷくが昼間ひとりで留守番ができないというものでした。
ひとりだと不安になってパニックに陥り、とんでもない問題行動に出てしまうんです。
幼稚園に通う中で、いずれ改善されたらいいなぁと思っていました。
まぁ今思うと、この「幼稚園に何とかしてもらおう」という他力本願がよくないんですけどね・・・
愛犬に留守番ができるようになってほしいというと、飼い主にとって都合のいい犬になってほしいという風に聞こえるようですが、
まったくそうではありません。
留守番という言葉がそうイメージさせてしまうのかもしれませんが、言い換えれば「留守番」とは、
飼い主がちゃんと自分のもとへ帰ってくるという信頼感のもと、落ち着いて自分の時間を過ごし、体を休めて必要な休息を取ること、といえます。
30分として一人でいることができず、不安と寂しさでパニックになっていれば、体を休めるどころではないですよね。
克服しない限り、この先ずっとまんぷくがつらい思いをし続けなければならないわけで、わたしはこれを非常に重く見ていました。
・・・と言うと、
「そもそもひとりで留守番させるなんて可哀想!飼い主がずっと一緒にいればいいじゃない!一緒にいられないなら最初から飼わないで!」と言ってくる人がいます。
そう思うことはその人の自由なので、愛犬とずっと一緒にいるべきと思う人はそうすればいいと思います。
でもわたしは、この意見は問題にしているところが違うと思っています。
飼い主が一緒にいられる・いられないの問題ではなく、犬の精神性の問題なのであって、飼い主がそばにいようといるまいと、落ち着いて自分の時間を過ごせずパニックになってしまうというのは、赤ちゃん犬ならともかく、成犬としては尋常な状態ではないわけです。
留守番ができない(一人で過ごせない)ということは、犬の中に自主性や自立したメンタルが育っていないということで、つまりそれは「おとな」とは言えない状態だと考えます。
だから一人で不安がらせないために飼い主がずっと一緒にいるというのは根本的解決にはならず、犬の成長の助けにもならないと思うわけです・・・。
(補足:犬は本来群れのなかで生きるものなので、一人が苦手なんだ・・という性質は理解しているつもりですが、それをもってしても、大人としての自立は必要だと考えます。)
幼稚園にいる限り、留守番嫌いを克服できない
まんぷくにそれができないというなら、我々飼い主がサポートし、まんぷくの精神的自立を促さなくてはなりません・・・それもあまり、手遅れにならないうちに。
園に「留守番トレーニング」みたいなのはないかと訓練士さんに相談したところ、「留守番のための訓練ってないんですよ・・・留守番は ”慣れ” なので。留守番の練習を重ねて、慣れさせる以外にないんです」と言われました。
「なるほど!」と思いつつ、かあちゃん、気付いてしまったんです・・・じゃあ幼稚園にいる限り、その「練習」はできないよね・・・ってことに。
飼い主が仕事に行ってそばにいられない間、常に人や犬がそばにいる幼稚園に預けていれば、それは「留守番」ではありません。
幼稚園に預けている限り、まんぷくに「留守番をする」という練習は永遠にさせられませんよね。
練習しないものを、克服できるはずないですよね。
つまり、幼稚園に預け続ける限り、留守番ができるようになるとは言えない(苦手な留守番を克服するための機会が幼稚園では得にくい)。
これが幼稚園をやめることにした大きな理由の一つです。
幼稚園に預けることで、社交性は育つかもしれませんが、反面、自立性を育てるのはなかなか難しいんじゃないかと。わたしはそう考えました。
もちろんこれもやりようで、最初から「自立した犬に育てたい」という目的意識をシッカリと園に伝え、その目的にあったトレーニングをしてもらえば、この問題はクリアできるかもしれません。
でもまんぷくがお世話になった幼稚園で、そこまで求めるのはなかなか難しい気がしました。
愛犬 対 飼い主の問題は深まるばかり
そして、愛犬 対 飼い主の関係性の問題ですが、これはもう今思うとカンタンな話で、まんぷくの中で、
幼稚園=ONの時間
自宅=OFFの時間
という切り替えがハッキリしてしまったんです。
日中は幼稚園、夜は自宅という暮らしの中で、いつしか「幼稚園でだけ、ちゃんとしてればいいんでしょ」という考えが、まんぷくの中に芽生えたようなのです。
外ヅラの良さだけが磨かれる
園に通っていると、訓練士さんから毎日のように
「まんぷくちゃんてホント良い子ですね。下の子の面倒もよく見るし、友達とも仲良くできて、超優等生です」
と言われるのですが、自宅での様子しか知らない我々からすると、
「はァ・・・???」なわけです。
「それ、どこの犬の話?ウチじゃ暴れまくって吠え散らかして手に負えませんけど・・・」
といっても、訓練士さんはまったく信じてくれません(笑)。
我々も、訓練士さんから「まんぷくちゃんは良い子!」と言われても、まんぷくのどの辺がそう言わせているのかまったく理解できない。
いや、もちろんまんぷくのことは可愛くて大好きなんですよ。それは間違いないのですが、ただ「優等生」ってのは違うだろと、毎日夫と一緒に首をひねっていました。
恥をさらすようでここに書くのは気が進まないのですが、当時、自宅でのまんぷくは、
飼い主の言うことを聞かない(バカにする)
無駄吠えをする
ちょっとしたことで暴れる
興奮すると飼い主を噛もうとする(そして噛む)
目に付いた物を何でも口に入れて引きちぎる
その一方でメンタルが弱く、一人でいると不安に陥りパニックになる。
これを伝えると訓練士さんは仰天して、「あのまんぷくちゃんが?!信じられない!!!」というわけです・・・
我々が話す「自宅での悪ガキまんぷく」と、訓練士さんが話す「園での超絶優等生なまんぷくちゃん♡」が、同一の犬とは思えないほどかけ離れていたため、訓練士さんが「信じられない・・・」と言って、何度もまんぷくの様子を見に自宅までやってきました。
担当訓練士さんだけでなく、なんと園の所長までもが。。。
そのときはちゃっかりと優等生に早変わりするまんぷく。
すると訓練士さんが「なんだ、やっぱりイイ子ですね~」と、女優・まんぷくにダマされる。
まんぷくが自宅にいるときに訓練士さんが来るとまんぷくがネコをかぶってしまうので、まんぷくが園に行っている間に訓練士さんに来てもらったこともありました。
そして自宅のクローゼットに隠れててもらい、帰ってきたまんぷくが自宅でどう過ごすか、クローゼットの中から観察してもらったんです。
何も知らないまんぷくが帰宅し、暴れはじめた瞬間・・・・
クローゼットから訓練士登場~~!
ドッキリ企画かよ!
あのときのまんぷくの「やっべぇ~~」という驚き顔が、今も胸に焼きついています。
自宅での「素」のまんぷくを目の当たりにして、訓練士さんもやっと「確かに問題ありますね、かなり・・・」と理解を深めた様子でした。
色々限界を感じ、退園を決意。
今思うとクローゼットに隠れて様子を見るとか、ホント冗談みたいですが・・・訓練士さんもよく付き合ってくれたものだと思います。
ようやく、まんぷくが問題児だということが訓練士さんにも伝わり(逆にいうと、ここまでやらないとまんぷくは「素」の姿を訓練士さんに見せなかった)、本格的にしつけトレーニングをやっていこうという流れになりました。
が、あくまでその訓練士さんは幼稚園の先生ですから・・・。
熱心に関わってくれるのは本当にありがたいし、担当訓練士のことはわたしも心から尊敬し、まんぷくも大変になついていましたが、幼稚園の先生に自宅トレーニングまでお願いするのは、「なんか違うんだろうなぁ」と感じていました。
ほかにも園児はたくさんいるわけで、ウチだけ特別っていうわけにはいかない。。。
でも、「じゃあ園にいる間に頑張ろう!」と言ってトレーニングを積んでも、あまり意味がなくて。
幼稚園にいる間のまんぷくは超優等生なので、どんなトレーニングもソツなくこなしてしまうんです。
で、自宅に帰ればトレーニングなんて忘れてチビッコギャングに早変わり。
やればやるほど、まんぷくの中の「ON」「OFF」の切り替えがハッキリしてしまい、幼稚園での優等生ぶりが自宅では1%も発揮されない。
そして訓練士の力量に到底及ばない飼い主は、ますますまんぷくからナメられ、「愛犬 対 飼い主」の関係は一向に改善されない・・・。
やってもやっても悪循環で、「通い」の幼稚園スタイルでは、限界があると感じ始めていました。
新たな訓練士探しが始まる
入園当初は、とにかくまんぷくを安全に預かってくれればいいです!という感じでしたが、実際に1年半通ってみて自分たちの問題がハッキリし、自分たちは今後まんぷくとどんな関係を築きたいのか、まんぷくにどうしてあげるのが最善なのかをじっくりと考えるようになりました。
色々考えているときに、前回書いた園での不祥事が重なり、それを一つの節目と捉え、いったん園をやめることにしました。
今まんぷくも3歳になって、あの頃とは状況もずいぶん変わりましたから、また機会があれば、フラッと幼稚園に顔を出してみたいな~と思い始めています。
最後に残念な不祥事はありましたが、幼稚園にはとても感謝しています。
でも100%良かったということはなくて、50%/50%だったということですかね。。
長くなりましたので、今回はここまでにしたいと思います。
次回は、園をやめたあとの新たな訓練士さん探し、そして我々の決意について書きたいと思います。
読んでくださりありがとうございます。